抄録
ラン藻Synechocystis sp.PCC6803のヒスチジンキナーゼ(Hik)とレスポンスレギュレータ(Rre)の網羅的な機能解析により、我々は様々な環境条件で機能するセンサー、シグナル伝達系を明らかにしている。そのうちHik33は低温、酸化、高浸透圧、高塩ストレスなどの複数の環境変化に応じて様々な遺伝子の発現を制御するマルチストレスセンサーとして働く、大変興味深いHikである。また、Hik33に相互作用する新規の因子(Ssl3451)が酵母2ハイブリッド法により得られている。
我々はSsl3451のHik33シグナル伝達系に関わる機能を明らかにするため、膜貫通ドメインを欠損したHik33(Hik33-c)とSsl3451を大腸菌内で大量発現し、精製した。Hik33-cは試験管内でATPに依存して自己リン酸化し、その放射活性は10分以内に最大値に達し、その後60分まで一定に推移した。この反応系にSsl3451を添加するとHik33-cのリン酸基取り込み活性は5~10倍に上昇した。パルスチェース実験の結果、Ssl3451はHik33の脱リン酸化への影響には関与しなかったため、Ssl3451はHik33-cの自己リン酸化活性を調節すると結論した。Hikのリン酸化活性を調節する因子はこれまで報告はなく、Ssl3451は初めて同定されたHikの活性調節因子である。