抄録
伸展活性化Ca2+透過チャネルは、機械刺激のセンサーの1つと考えられている。我々は出芽酵母の伸展活性化Ca2+透過チャネル候補の変異株(mid1)の致死性を相補するシロイヌナズナの遺伝子2つ(AtMID1AとAtMID1B)を特定することに成功した(第45回年会)。根の接触刺激応答を調べるために二層寒天法を開発した。この方法では1.6%寒天培地を下層に、0.8%寒天培地を上層にした。二層寒天法を行った結果、atmid1a株およびatmid1a atmid1b株では根が下層に移行できない割合が野生株およびatmid1b株に比べ高かった。根におけるCa2+蓄積量を測定した結果、AtMID1A高発現株は野生株と比べて顕著に高かった。また、AtMID1A高発現株の根におけるCa2+蓄積量は伸展活性化イオンチャネルの阻害剤であるGd3+で阻害され、電位依存性Ca2+チャネルの阻害剤であるverapamilでは阻害されなかった。これらの結果は、AtMid1Aが根の接触刺激応答とCa2+取込みに関与する伸展活性化Ca2+透過チャネルの構成成分であることを示唆する。