日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ完全長cDNAデータを用いた動植物の膜輸送システムの比較生物学的解析
*永田 俊文飯泉 茂美佐藤 浩二土井 考爾鈴木 宏史大友 泰裕村上 和雄松原 謙一河合 純Piero Carninci林崎 良英菊池 尚志
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p. 043

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抄録
イネ完全長cDNA配列データ(32,127)について、BLAST等を用いて、動植物の既存の膜輸送遺伝子との相同遺伝子を検索し構造比較することにより、各生物における膜輸送の調節機構の特異性について考察した。
高等植物の膜輸送タンパクの種類数は、ヒト、ハエ、線虫とほぼ同数であり、酵母、カビ、細菌の2倍以上であり、動物ではチャンネルが植物ではポンプとトランスポーターが組織及び発生ステージ特異的に多様化していることが判明した。また、2次能動輸送系では動物がNa 勾配を利用する輸送系を植物がH +勾配利用系を発達させていることが認められた。そして、水輸送チャンネル、プロトンポンプ、トランスポーター(薬剤、アミノ酸、カチオン、etc)の種類が植物で豊富な一方で、電位依存チャンネル、Na +/K +ポンプ等は動物特異的な発達がみられた。遺伝子構造の比較より、植物では複数のポンプやトランスポーター間では基質が異なっていても基本構造が類似していることや、多くのチャンネルは動物のものよりも簡略化した構造であることなどが判明した。更にイネとシロイヌナズナにおいて比較解析を行った結果、イネではP-ATPase, CNGC, K + channel, MATE等の種類が少ない一方で、Carbohydrate Transporter等がより組織及び発生ステージについて多様性を示した。
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© 2006 日本植物生理学会
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