日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヨシ(Phragmites communis)からのNHX1遺伝子の単離と機能解析
樋口 恭子*丸山 哲平片岡 遼平のき田 晃弘吉羽 雅昭但野 利秋
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p. 049

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抄録
ヨシは高塩濃度条件下でも地上部の塩含有率を極端に低く抑えることが出来る耐塩性植物である。我々はヨシが茎基部でNaCl特異的にイオンの地上部移行を抑制することを定量的に示した(2005年日本植物生理学会新潟大会)。このNa+地上部移行抑制能は茎基部のホットガードリングやATPase阻害剤により失われることが知られている。つまり、ヨシ茎基部では導管からNa+を強力に回収するために、Na+特異性を持つトランスポーターやチャネル等が発達していると推測される。我々はこのNa+地上部移行抑制機構に関わる輸送担体の特定を試みており、その候補の一つとしてヨシからNHX1様遺伝子のcDNA全長とゲノミッククローンの一部を単離し配列を決定した。イネのOsNHX1と比較したところヨシNHX1様cDNA配列は88%、アミノ酸配列では81%の相同性があった。サザン解析で、ヨシのゲノム上にはNHX1様遺伝子が少なくとも2つ存在すると推測され、ゲノミッククローンの部分配列解読により2種の高い相同性を示す遺伝子の存在が強く示唆された。ノーザン解析によりヨシNHX1様遺伝子は、塩濃度に関係なく地上部で発現し、茎基部では弱い塩誘導性がある事が示された。従ってヨシのNHX1様遺伝子は茎基部での地上部移行抑制機構に関与していると共に地上部で少量移行したNa+の液胞内への隔離に関与している可能性が示された。ヨシNHX1様のNa+輸送能及び茎基部での他カチオンとの競合特性についても考察する予定である。
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© 2006 日本植物生理学会
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