日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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グリシンのメチル化によるベタイン合成経路を付与した植物およびラン藻の耐塩性
*田中 義人WADITEE Rungaroon青木 健治日比野 隆高倍 鉄子高倍 昭洋
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p. 051

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抄録

最近,私たちは耐塩性ラン藻Aphanothece halophytica がグリシンを基質として3段階のメチル化反応によってグリシンベタインを合成することを見い出した。A. halophytica におけるグリシンベタイン生合成はグリシンからサルコシンおよびサルコシンからジメチルグリシンへのメチル化反応を触媒するグリシンサルコシンメチルトランスフェラーゼ(ApGSMT)およびジメチルグリシンからグリシンベタインへのメチル化反応を触媒するジメチルグリシンメチルトランスフェラーゼ(ApDMT)により行われる。今回、これらメチル基転移酵素遺伝子を導入した形質転換植物を作成し、そのストレス耐性能について検討した。ApGSMT/ApDMT形質転換体では葉、茎、根のすべてで1~1.5μmolグリシンベタイン/g生重量であった。種子の発芽、発芽後の生育、生殖成長において、野生型よりもストレス耐性が付与されていることが明らかになった。グリシンベタイン合成に対するN-メチル基転移酵素の有効性がみられる理由として、基質(グリシン、セリン、S-アデノシル-L-メチオニン)について検討した。これらの結果について報告する。

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© 2006 日本植物生理学会
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