日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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塩ストレスに対するアスコルビン酸酸化酵素の役割
*浅野 友吾山本 淳子田中 義人日比野 隆酒巻 史郎江坂 宗春大羽 和子高倍 昭洋
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p. 052

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抄録

アスコルビン酸酸化酵素(AAO)はアポプラストに存在し、アスコルビン酸をモノデヒドロアスコルビン酸に酸化する酵素である。この酵素の生理的役割を明らかにするため、タバコAAO遺伝子をタバコにおいて強発現させたセンス形質転換体とその発現を抑えたアンチセンス形質転換体を作出した。その結果、センス組み換え体では野生型(WT)よりビタミンC量が減少し、アンチセンス組み換え体ではビタミンC量がわずかであるが増加した。AAOのストレス防御に果たす役割を明らかにするため、組み換え植物の塩および酸化ストレス耐性について調べた。通常条件下では、WT、センス、アンチセンスの3種に大きな違いはみられなかったが、高塩濃度下では、発芽率、光合成活性、種子収量等においてアンチセンスで高く、センスで低いことが明らかになった。このことは、環境ストレス耐性にとって、アポプラストのAAOの発現を抑制することが重要であることを示している。さらに、AAO遺伝子にT-DNAが挿入された変異体を用いた実験の結果、アラビドプシスが持つ3つのAAO遺伝子のうちの1つがアラビドプシスのAAO活性の大部分を占めることが明らかになった。また、アラビドプシスのストレス耐性にとって、AAOの抑制が重要であることを示す結果が得られた。

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© 2006 日本植物生理学会
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