抄録
ヒメツリガネゴケおよびホウライシダにおいて、新規のRFPであるtdTomato (Shaner et al. 2004)を用いたアクチンフィラメントの可視化を試みた。我々はGFP-talinを安定に発現するヒメツリガネゴケ形質転換体を用い、光反応にともなうアクチン構造変化の動態を観察している。しかし、青色光反応を観察する場合、GFPの励起光と刺激光が同一であるため、詳細な解析が難しい。緑色光励起のRFPを用いることでこれは解決でき、また、GFPラベルの微小管との同時観察が可能になる。そこでラベルをtdTomatoに変えた融合遺伝子の安定形質転換体を作出し、アクチンフィラメントが観察されるか調べた。その結果、GFP-talinの場合と同様の動態を示すアクチンフィラメントが観察されることがわかった。一方、ホウライシダでは、これまでGFP-talin、DsRed-talin、DsRed2-talinを一過的に発現させた細胞で観察が試みられたが、アクチンフィラメントは十分に観察されていない。しかし、tdTomato-talinを導入することで、初めてその動態を観察することが可能となった。