抄録
セルロース合成酵素はセルロースを合成しつつ、細胞膜上を動いていると考えられており、細胞内の細胞膜近傍に存在する表層微小管がその動きを制御していると考えられている。しかし、その制御の様式は不明であり、ガードレールのように動きを一定範囲内に規制しているという説や表層微小管をレールとして動いているという説などが提出されている。今回私たちは表層微小管にグルカン合成酵素が結合していることを示唆する結果を得たので報告する。
タバコBY-2細胞のプロトプラストからパーコール密度勾配遠心法を用いて細胞膜小胞を単離した。以前発表したようにこの細胞膜小胞は多くがright side outであり内部に表層微小管を持っている。これを用いてUDP-グルコースを基質として多糖合成を試みた。カルコフロー染色で観察すると、基質のない場合に比べて蛍光強度が少し増加した。しかし、細胞膜小胞をCHAPSで可溶化し、遠心によって集めた分画を用いると、蛍光強度が著しく増加した。この分画を電子顕微鏡で観察すると表層微小管から繊維状構造が多数結合しているのが見られた。このことからグルカン合成酵素が表層微小管に結合していることが示唆された。合成された繊維がどのような多糖類であるのかについては現在分析中であるが、アニリンブルーによっても染まることからカロースを含むものと考えられる。