抄録
Bax inhibitor-1 (BI-1) は生物間で広く保存された細胞死抑制因子である。AtBI-1 (Arabidopsis BI-1) は小胞体(ER) に局在する膜タンパク質で、植物細胞内で過剰発現させると過酸化水素、サリチル酸及びエリシターなどによって引き起こされる細胞死を抑制することが報告されている (PNAS 2001, Plant Cell 2004)。本研究では、AtBI-1の細胞死抑制機構を明らかにするため、相互作用因子の単離を行った。酵母を用いたsplit-ubiquitin system によるスクリーニングにより、AtCb5 (Arabidopsis cytochrome b5) を単離した。Cb5は脂肪酸の形成や修飾に関与する電子伝達因子であることが知られている。さらに、AtBI-1はAtCb5を介して、 AtFAH ( Arabidopsis fatty acid hydroxylase) と相互作用する可能性が示唆された。シロイヌナズナには細胞内局在が異なるCb5相同遺伝子が存在するが、それらのうちER局在型とミトコンドリア局在型がAtBI-1及び AtFAHと相互作用することを見出した。さらに、AtBI-1はヘム結合部位を有するAtCb5の細胞質側のN末端領域と相互作用することを明らかにした。これらタンパク質の機能と脂質の代謝経路の関与についても報告する。