日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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海洋性珪藻 Phaeodactylum tricornutum 葉緑体 carbonic anhydrase (PtCA1) の局在機構および顆粒形成機構
*北纓 良子中妻 大輔松田 祐介
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p. 115

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抄録
海洋性珪藻Phaeodactylum tricornutumの細胞内carbonic anhydrase(PtCA1)は、CO2の炭素固定に重要な鍵酵素である。PtCA1のcDNA配列には、成熟PtCA1にはないN末端46 アミノ酸残基(Pre46AA)をコードする138 bpのプレ配列(pre138)が存在する。PtCA1はガードルラメラ上に顆粒上に局在し、Pre46AAがPtCA1を葉緑体内へ輸送することがわかっている。Pre46AAは、ER移行シグナルと葉緑体移行シグナルの機能を持つと考えられるが、葉緑体移行シグナルは同定されていない。本研究では、C末端側から段階的なトランケーションを行ったPre46AAを持つ改変PtCA1-GFP融合タンパク質を発現する形質転換体を作製し、GFPの局在を調べることで、葉緑体移行シグナルを決定した。その結果、ERシグナル配列の切断部位近傍のFNANモチーフが葉緑体移行に必須であることが分かった。また、PtCA1の顆粒形成機構を明らかにするために、成熟PtCA1のN末端またはC末端をそれぞれ部分的にトランケートした改変PtCA1-GFP融合タンパク質を発現する形質転換体を作製し、GFPの蛍光を観察することで、顆粒形成に関与する領域の特定を試みた。この結果PtCA1のC末端側から数えて1~20の領域に顆粒形成に関わる配列があることが示唆された。
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© 2006 日本植物生理学会
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