抄録
我々の最近の比較ゲノム研究(Gclust version 3.5.2)によれば,葉緑体プロテオームを構成する約1,000個以上のタンパク質が,シアノバクテリア共生体に起源を有すると推定される。これら共生体起源葉緑体タンパク質(CPRENDOs)の機能解析のためには,植物における研究の他に,CPRENDOsの起源となったシアノバクテリア遺伝子の解析も不可欠である。シアノバクテリアと植物だけに共通に保存されている機能未知タンパク質セットを以前に推定していたが,これらについての機能解析を行った。これらは植物での解析により,すべてが葉緑体局在であることが確定しているため,当面の研究対象としては最適である。Synechocystis sp. PCC 6803において対応する38個の遺伝子の破壊を,カナマイシンカセットを用いた相同組換えによって行った。このうち5個は完全に破壊することができず,必須遺伝子と推定された。完全に変異ゲノムだけにならないものも含め,22株で,増殖遅延,強光感受性,色素組成異常,などの可視的表現型や,蛍光誘導の変化,PAMにおける異常などが観察された。この結果は,これらの遺伝子がシアノバクテリアの生育,特に光合成に関連を持つことを示し,このことが,CPRENDOsが植物において葉緑体タンパク質として長い間維持されてきたことを説明する。