日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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花成制御経路統合遺伝子FTによる花成機構の解析
*大門 靖史山本 純子阿部 光知荒木 崇
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p. 160

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抄録
シロイヌナズナにおいて、FTは既知の花成制御経路の最も下流に位置する遺伝子の一つであり、様々な花成制御の情報が統合される。FT蛋白質はPEBP/RKIPファミリーに属しており、多くの植物種において相同分子種と思われる遺伝子が同定されている。しかし、その生化学的な機能は未だ不明である。近年、我々は遺伝学的解析によりFTは別の花成制御因子FDと相互依存的に機能することを示した。FD蛋白質はbZIP型転写因子で、FTと酵母細胞内及びin vitroにおいて蛋白質間相互作用をする。FTは子葉および葉の維管束で発現し、FDは茎頂で発現する。FDプロモーターを用いてFTを茎頂で発現させたところ、FTの機能喪失変異を相補することが出来た。これらの結果から、FTの機能部位は茎頂であると考えられる。FT、FDそれぞれについてEGFPとの機能的融合蛋白質を作製したところ、FTは核と細胞質の両方、FDは核に局在した。そこで、BiFC(bimolecular fluorescent complementation)法を用いてFTとFDの相互作用をタバコ表皮で観察したところ、両者が共局在する核で相互作用を示す蛍光が検出された。また、35S::FT-GR形質転換体を作製したところ、dexamethasone処理により花成が促進された。これらの結果から、FTは核内でFDと相互作用して下流の遺伝子の発現を制御している可能性が示唆された。
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© 2006 日本植物生理学会
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