抄録
絶対的短日植物であるアサガオは、たった1回の誘導暗期 (16h)によって花成が誘導され、花成誘導に十分な花成誘導物質は、一回の誘導暗期中に葉で生産されて、茎頂に移動すると考えられる。近年、シロイヌナズナやイネの研究から、FTの花成における重要性が示されてきた。我々は、アサガオにおいて、子葉および茎頂の各々で花成誘導特異的に発現する2種のFT相同遺伝子PnFT LEAF-TYPE (PnFTL)とPnFT APICAL-TYPE (PnFTA)の解析を行った。PnFTLの発現は、子葉において誘導暗期中に急激の増加し、誘導暗期開始16時間後にピークを示した。一方、PnFTAの発現は、子葉におけるPnFTLの発現のピークの後に、茎頂において確認された。また、PnFTLおよびPnFTAの発現は、光中断によって抑制された。さらに、RNAiによって各々の発現を抑制したところ、一回の誘導暗期による花成誘導が完全に抑制された。また、PnFTLを過剰発現することにより、花芽がカルスから直接形成された。以上の結果は、一回の誘導暗期によるアサガオの花成誘導におけるFT遺伝子の重要性、さらには、茎頂におけるFT遺伝子の機能の可能性を示唆した。