日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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原核および真核生物に保存された単量体GTP結合タンパク質Obgの植物ホモログ(AtObg1)は葉緑体に局在する
梅田 哲也増田 隆之石崎 陽子秦 晶中平 洋一*椎名 隆
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p. 174

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抄録
単量体GTPaseのObgスーパーファミリーに属するObgは,真性細菌から酵母、植物、脊椎動物にまで広く保存されている。多くの細菌でObgは増殖に必須な遺伝子であり、リボソーム成熟過程に関与していることが指摘されている。しかし植物を含め高等真核生物のObgについては殆ど研究されていない。一般に原核生物が一つのObgを持つのに対し、真核生物は複数のObgホモログを持つことから、真核生物のObgはそれぞれ異なったオルガネラで機能している可能性が考えられる。我々はシロイヌナズナのObgホモログを2つ見いだし,AtObg1,AtObg2と名付けた。AtObg1には細菌Obgと比較して約220アミノ酸のN末端伸長配列があり,局在予測は葉緑体である。GFP融合タンパク質を用いた一過的発現解析でAtObg1が葉緑体に局在することを我々は既に報告している(2004年度植物生理学会年会)。今回新たにAtObg1とGFPの融合タンパク質を強制発現する形質転換植物を作製し,AtObg1の細胞内局在を詳細に検討した。その結果,葉や根および花器官の全ての細胞でAtObg1は色素体に局在しており,核やミトコンドリアへの局在は認められなかった。一方、AtOBG1ノックアウト変異体は胚致死の表現型を示した。これらの結果は,AtObg1が葉緑体のリボソーム機能に重要な役割を果たしている可能性を示唆する。
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© 2006 日本植物生理学会
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