日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タバコ培養細胞から単離した色素体核およびミトコンドリア核に存在するDNAポリメラーゼの比較解析
*酒井 敦田草川 真理高野 博嘉
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p. 178

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抄録
我々はタバコ培養細胞BY-2からバクテリアのDNA ポリメラーゼ Iと相同なタンパク質をコードする遺伝子を二つ(NtpolI-like 1およびNtpolI-like 2)単離した。両遺伝子産物のアミノ酸配列を比較すると、全長に亘って97.2%相同であり、複二倍体であるNicotiana tabacumの祖先種にそれぞれ由来するorthologueであると推測された。また、トランジットペプチドの領域については100%一致しており、コンピュータプログラムによる予測では色素体への局在が予想された。しかし、NtpolI-like2タンパク質に対する抗体を用いたウエスタン解析およびNtpolI-like1/2のトランジットペプチドとGFPの融合タンパク質の一過的発現により細胞内局在を観察した結果、NtpolI-like1/2タンパク質は色素体だけではなく、ミトコンドリアにも輸送されることが示唆された。この結果は、植物のミトコンドリアと色素体のDNA複製が同一の酵素によって行なわれている可能性を示している。現在、NtpolI-like1/2遺伝子産物以外にオルガネラ局在型DNAポリメラーゼが存在する可能性や、両オルガネラに存在するDNA ポリメラーゼの異同について、タバコ培養細胞BY-2から単離した色素体核およびミトコンドリア核を用いた生化学的検討を進めている。
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© 2006 日本植物生理学会
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