日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナT7ファージ型RNAポリメラーゼRpoT;2の機能解析
*金丸 研吾一林 久雄稲垣 良作伊藤 滋一金地 通生櫻井 望鈴木 秀幸柴田 大輔宇野 知秀山形 裕士
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p. 179

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抄録
植物細胞では細胞核、葉緑体、ミトコンドリアそれぞれのゲノム間でクロストーク機構が働きながら遺伝子発現が行われ、個体機能を統御していると考えられている。これらの転写系のうちミトコンドリアではT7ファージ型RNAポリメラーゼ(NEP)が機能し、葉緑体ではNEPに加え原始ラン藻由来の真正細菌型RNAポリメラーゼ(PEP)が機能している。シロイヌナズナのNEPには、ミトコンドリア局在性のRpoT;1(RpoTm)、葉緑体局在性のRpoT;3(RpoTp)と、ミトコンドリアと葉緑体に両局在するかどうか議論が分かれるRpoT;2(RpoTmp)の3種類がある。我々はオルガネラ発達過程やストレス応答を転写ネットワークの面から捉え、RpoT;2が葉緑体とミトコンドリア両方の転写や機能に関与していないかどうかを欠失変異株を用いて解析した。この遺伝子の変異株については昨年、独のグループから報告がなされているが(Baba et al., Plant Cell 2004)、なおその分子機能と役割については不明な点が多い。我々はRpoT;2の機能的重要性が発芽初期段階や各種環境刺激等で顕在化するのではないかと考え、ノザン解析、QPCR、マイクロアレイ解析、光合成活性測定等で調べた。その結果、RpoT;2欠損が少なくとも複数の葉緑体コード遺伝子の発現や光合成活性に有意な影響を与えることを見いだした。またRpoT;2変異によって多面的影響を受ける核コード遺伝子候補も抽出したので報告する。
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© 2006 日本植物生理学会
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