オレオサイエンス
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特集総説論文
肥満と炎症
宮崎 滋
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2024 年 24 巻 9 号 p. 391-397

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抄録

肥満とは脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態であり,BMI 25以上であれば肥満と判定される。肥満症は,肥満に起因する疾患を保有するか,あるいはそれらの疾患を起こしやすい内臓脂肪の過剰蓄積があれば診断され,減量治療を必要とする病態である。日本では,肥満症は疾患単位として扱われる。
健常な脂肪組織では,小型脂肪細胞が炎症抑制性サイトカイン(アディポカイン)を分泌している。脂肪組織,特に内臓脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積すると,炎症促進性サイトカイン(アディポカイン)が増え,脂肪細胞はアポトーシスを起こす。アポトーシスを起こした細胞の周囲にマクロファージが侵入し炎症を起こすと,炎症促進性サイトカインの分泌が高まる。炎症促進性サイトカインが全身に慢性的に拡散されると,糖尿病や,脂質異常症,高血圧等の生活習慣病が起こり,動脈硬化性疾患やがんに発展する。ウイルス感染等で内臓脂肪組織に炎症が生じると,炎症促進性サイトカインが大量,且つ急性的に拡散するのでサイトカインストームが起こり,重症化の原因となる。
内臓脂肪過剰蓄積は炎症を容易に生じ,炎症の拡大は健康や生命にとって脅威となる。その予防,治療のため,肥満,肥満症では減量治療が必要である。

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