抄録
植物を構成する各細胞にはそれぞれ固有の細胞壁が構築されている。エンド型キシログルカン転移酵素/加水分解酵素(XTH)はキシログルカン分子の繋ぎ換えや切断を触媒する酵素で、細胞壁の構築や再編成に重要な役割を果たすと考えられている。シロイヌナズナのXTHは33のメンバーからなり3つのクラスに分けられる。クラスIIIはキシログルカンの加水分解反応を触媒すると考えられているが、植物体での生理機能は未だ不明である。我々はクラスIIIに属する全ての遺伝子(AtXTH27,-28,-29,-30,-31,-32,-33)に着目し、発現と機能の解析を行った。xth27以外の突然変異体では顕著な表現型が確認できなかった。このことは、クラスIII遺伝子群の機能が互いに重複していることを示唆している。重複する機能を解明するため20通りの二重突然変異体を作成している。5つの遺伝子についてプロモーターGUS形質転換体の発現を解析したところ各遺伝子は組織特異性を示し、特定の組織では複数の遺伝子が共通に発現していた。XTH27、XTH28は共に葯で発現し、発現開始時期も一致した。XTH27とXTH28との二重突然変異体では果実長が野生型と比べて短くなることが明らかになった。