日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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チロシンフォスファターゼAtPTP1はシロイヌナズナの生長を抑制的に制御する
*逸見 健司岩渕 雅樹小川 健一
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p. 220

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抄録
環境変化に応答して細胞内のレドックス状態が変化し、それに伴って花成や抽だいといった生長生理が調節されているが、植物においてはそうしたレドックス状態の変化を認識する機構について不明な点が多い。我々は一般的にチロシンフォスファターゼが酸化条件下で失活しやすい性質に着目し、レドックス状態の変化を感知し伝達する因子の候補と考え、シロイヌナズナのチロシンフォスファターゼ(AtPTP1)の機能について解析した。AtPTP1はゲノム中に唯一存在する典型的なチロシンフォスファターゼである。このT-DNA挿入変異体は野生型に比べて生長が速く、早咲き性を示した。野生型の種子は過酸化水素処理することでその花成が促進されたが、変異体の場合ほとんど促進を受けず、過酸化水素処理した野生型の花成とほぼ同程度であった。チロシンフォスファターゼが過酸化水素で失活することを考えあわせると、AtPTP1は過酸化水素シグナルの下流で生長を抑制的に制御していることが示唆された。
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© 2006 日本植物生理学会
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