日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ葉緑体型アルドラーゼのグルタチオン化による活性制御
*松本 雅好伊藤 寿逸見 健司杉本 育代小川 健一
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p. 221

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抄録
我々はこれまでにシロイヌナズナ培養細胞でグルタチオン結合タンパク質を同定した (Ito et al., 2003)。本研究では、その1つ葉緑体型フルクト-ス-1,6-ビスリン酸アルドラーゼ(FBA)のグルタチオンによる制御について調べた。シロイヌナズナのゲノムには3遺伝子がコードされ、グルタチオン結合性FBAをFBA1、他の2つをFBA2, FBA3と名づけた。組換えFBA1の活性は強いpH依存性を示し、ストロマ内のpH変化に適応していた。明条件に相当するpH 8での活性は、暗条件に相当するpH 7での2倍であった。この依存性はグルタチオン(GSH)により強められ、pH 7とpH 8の活性比は5倍だった。 一方、組換えFBA2とFBA3では、このような制御は認められなかった。カルビン回路はチオレドキシン (Trx) により活性化されるが、ジチオスレイトールやTrxは3つの FBA活性を阻害した。GSHにより再活性化されるのは、唯一、 pH 8においてFBA1だけであり、再活性化はGSHとの結合に依存していた。シロイヌナズナから単離した葉緑体のFBA活性は、FBA1と同様にpH、GSHにより制御された一方、FBA1のT-DNA挿入変異体から単離した葉緑体のFBA活性は、pH、GSHに対する依存性を失っていた。以上よりin vivoにおいてもFBA1は発現しており、グルタチオン化依存的な制御を受けていた。
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© 2006 日本植物生理学会
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