日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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SIPKオルソログOsMPK2の抵抗性関連遺伝子発現抑制機構の解析
*加星(岸) 光子Agrawal Ganesh Kumar渡辺 恒暁宮尾 安藝雄廣近 洋彦
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p. 229

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抄録
Mitogen-activated protein kinase (MAPK) cascadeは細胞に加えられる様々な刺激を下流に伝え、応答を引き起こす重要な因子として真核生物に広く保存されている。植物のMAPKで最も解析が進められているタバコSIPKは、傷害、病原体感染などで活性化され抵抗性反応を誘導すると考えられており、実際にストレス応答性のエチレン合成を引き起こす。イネはシロイヌナズナに一次構造上対応する多くのMAPKを持つが、その機能については多くが不明である。タバコSIPK、シロイヌナズナAtMPK6オルソログと想定されるOsMPK2はSIPK同様、エリシターによる急速な活性化が見られるが、サリチル酸による顕著な活性化は見られない。一方で、トランスポゾンTos17の挿入によりOsMPK2活性を完全に欠失した変異体は、野生型の培養細胞と比較して抵抗性関連の遺伝子発現が増加していた。また、この遺伝子発現はキチンオリゴマー、BTH処理によりさらに急激に増加した。このことから病原体に対する抵抗反応の過程において、OsMPK2はSIPKとは異なり抵抗性関連遺伝子の発現を負に制御すると考えられる。現在、OsMPK2とその上流リン酸化酵素と想定されるMAPKKについて、またAtMPK6の基質であるエチレン前駆体合成酵素のイネオルソログについて解析を行っている。
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© 2006 日本植物生理学会
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