日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネPti1相同遺伝子はRAR1を介して耐病性シグナル伝達を負に制御する
*高橋 章Agrawal Ganesh山崎 宗郎小野里 桂宮尾 安藝雄廣近 洋彦
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p. 228

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抄録
レトロトランスポゾンTos17の挿入によりOsPti1a遺伝子の機能が欠損した変異体では、葉に擬似病斑が形成され、それに伴いPR遺伝子群の発現誘導、ファイトアレキシンの蓄積、および親和性いもち病菌に対して抵抗性が誘導される。また、OsPti1aを過剰発現させた形質転換イネでは、非親和性いもち病菌に対して抵抗性の減少がみられたことから、OsPti1aはイネにおいて耐病性シグナル伝達を負に制御していると考えられた。今回我々は、OsPti1aが抵抗性(R)遺伝子によって誘導される耐病性シグナル伝達に関与しているか調べるため、遺伝学的にさまざまな植物種でR遺伝子の機能発現に要求されるRAR1遺伝子との関係について解析した。ospti1a変異体においてOsRAR1遺伝子の発現を抑制した結果、擬似病斑の形成およびPR遺伝子群の発現誘導が顕著に抑制された。すなわち、OsPti1aOsRAR1を介してR遺伝子により制御される耐病性シグナル伝達を負に制御している可能性が示唆された。また、トマトのLePti1ospti1a変異体に導入することにより、変異体で見られる一連の表現型が抑制された。これまでにLePti1は過敏感反応(HR)の誘導を正に制御していることが報告されている。しかしながら、イネにおいては、細胞死および耐病性シグナルを負に制御していると考えられることから、トマトとイネにおいては遺伝子の機能は保存されているが、耐病性シグナル伝達の分子機構は異なると考えられる。
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© 2006 日本植物生理学会
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