日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネにおけるエリシター応答性 WRKY 型転写因子 OsWRKY71 の機能解析
*中条 哲也高井 亮太南 栄一長村 吉晃賀来 華江渋谷 直人安田 美智子仲下 英雄岡田 憲典野尻 秀昭山根 久和
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p. 234

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抄録
植物は病原菌の感染を認識すると、様々な抵抗性反応を示す。イネにおいても、キチンオリゴマーやセレブロシドなどのエリシターによって PR タンパク質やファイトアレキシンの生産などの様々な抵抗性反応が誘導されることが知られている。我々は、イネの EST に対するマイクロアレイ解析から、少なくとも2種類のキチンエリシター応答性 WRKY 型転写因子(OsWRKY53、OsWRKY71)が存在していることを明らかにしてきた。WRKY 型転写因子は、エリシター応答配列(W-box)に特異的に結合し、防御関連遺伝子の発現制御に重要な役割を果たすことが知られている。今回は、OsWRKY71 の標的遺伝子のスクリーニング結果について報告する。OsWRKY71 過剰発現株を用いたマイクロアレイ解析の結果、キチナーゼなどの PR タンパク質遺伝子や、WRKY 遺伝子の発現が活性化されていた。また、これらの遺伝子群は全てキチンエリシター応答性であり、発現の極大もOsWRKY71 より1~2時間遅れることが示された。さらに、これらの遺伝子群の5'上流域には、W-box が複数存在していた。以上の結果から、キチンエリシター誘導のシグナル伝達経路において、OsWRKY71 がこれらの遺伝子群の発現を正に制御している可能性が極めて高いことが示された。
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© 2006 日本植物生理学会
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