抄録
イモチ病菌由来のエリシターを処理したイネカルスは細胞死を引き起こす。その過程において、ROS生成や様々な防御遺伝子の発現が誘導される。我々はエリシターが植物細胞に与える影響を明らかにするために、代謝物の変動をキャピラリー電気泳動質量分析装置(CE/MS)を用いて調査した。エリシター処理によって抗酸化物質や遊離アミノ酸量が増加したのに対して、クエン酸や2-オキソグルタル酸などTCA 回路に関わる代謝物は著しく減少した。また、今回定量した代謝物の中で、γアミノ酪酸(GABA)は最も大きな増加を示したことから、 GABA経路に注目しGABAの合成・分解に関わる酵素活性を比較した。TCA回路から GABA経路への反応を触媒するアラニンアミノ基転移酵素、グルタミン酸脱水素酵素では、活性に変化は見られなかった。またグルタミン酸脱炭酸酵素ではエリシター処理から8時間後に活性の低下が確認された。しかしGABAアミノ基転移酵素(GABA-T)は、エリシター処理から4時間後に活性が激減した。エリシター処理による GABAの増加は、分解系の停止と推察され、細胞死との関係が示唆された。