抄録
植物体中での物質動態をリアルタイムで2次元的に解析できれば、植物の物質輸送、シグナル伝達のメカニズムをより詳細に明らかにできる。そこで我々は放射性同位体元素の崩壊により生じるβ線の検出に、シンチレータによる光変換とその微弱光を検出するシステムを構築し、標識化合物の動態をリアルタイム画像として取得することに成功した。本研究ではまずこのシステムの感度と解像度の評価をImaging Plate法 (IP)と比較することで行った。3種類のβ線放出核種を使用した基礎実験の結果、32Pでは我々が構成したシステムはIPによる検出法と比較して、単位時間当たりの検出では10倍以上の感度を示し、解像度もIPと同程度に高いことが明らかとなった。またエネルギーの弱い45Ca、14Cに対しても同様に高い検出感度と高解像度で検出することが可能であった。
また、画像の定量性も重要である。我々が検出に用いているβ線は、シンチレータにおける可視光への変換効率が高く、検出感度は高い。しかし、その反面、物質の透過能力が低いため、エネルギーの弱い核種を用いた場合、サンプル自体の組織により大部分吸収されてしまうことが予想される。そこで本研究のシステムが植物の構成や厚みの異なる組織において定量的に検出できているかを、エネルギーが異なる3種類の核種について、植物サンプルはダイズ幼植物を用いて現在検討を行っており、この結果についても報告する。