抄録
ホウ素過剰あるいはホウ素欠乏に1日間晒したシロイヌナズナの根及びロゼット葉を試料としてマイクロアレイ解析を行った。個々の遺伝子についてホウ素過剰による発現誘導の度合いとホウ素欠乏による発現誘導の度合いを比較したところ、全体として二つのストレスによる誘導には正の相関が認められた。一方で、どちらかのストレスに特異的に発現誘導を受ける遺伝子も見付かった。根においてはAt5g64170などがホウ素過剰特異的に、NIP5;1などがホウ素欠乏特異的に発現誘導を受けていた。ロゼット葉においてはAtPT2などがホウ素過剰特異的に、At3g11340などがホウ素欠乏特異的に発現誘導を受けていた。また、グルコシノレート合成経路の遺伝子の発現がホウ素過剰に晒した根において減少し、クロロフィル合成経路、カルビン・サイクル、グリオキシル酸経路の遺伝子の発現がホウ素過剰のロゼット葉で減少していた。さらに、セネッセンスや防御応答に関係した遺伝子(WRKY6他15個)の発現が主にロゼット葉で誘導されていた。ホウ素ストレスにより発現が誘導される転写因子も見付かっており、これらの遺伝子がホウ素ストレスに晒されたシロイヌナズナの生育をどのように助けるのかという点に注目してさらに解析を進めている。