日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナABA高感受性変異体ahg2の病原ストレス応答
西村 宜之安田 美智子北畑 信隆鳴坂 義弘鳴坂 真理黒森 崇浅見 忠男仲下 英雄篠崎 一雄*平山 隆志
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 319

詳細
抄録
我々はアブシジン酸(ABA)応答の分子機構を明らかにするため、ABA高感受性を示すahg変異体(ABA hypersensitive germination)を単離、解析を行っている。ahg2は種子発芽と植物体においてABA高感受性を示し、その原因遺伝子はpoly(A)-specific ribonuclease (AtPARN)をコードしていた。興味深いことに、ahg2植物体はいくつかのストレスやサリチル酸(SA)誘導性遺伝子の発現量が上昇し、種子発芽においてはSA高感受性を示した。また、ahg2植物体は小さく、恒常的な細胞死を示すなど形態的にも多様な表現型を有す。本研究では、ABAを介する環境ストレス応答とSAを介する病原ストレス応答におけるAHG2/AtPARNの役割について明らかにすることを目的としている。
今回、AHG2/AtPARNが病原ストレス応答においても役割を担っているかを明らかにするため、病原菌感染応答を調べた。ahg2P. syringae pv. tomatoに対し抵抗性を示したが、B.cinereaには抵抗性を示さなかった。また、内在性SA量を調べたところ、野生型に比べ高く蓄積していることも明らかとなった。
以上のことから、ahg2変異は、これまで拮抗的に作用すると報告されていたABA応答とSAまたは病原ストレス応答が双方とも高感受性になっている特殊な変異株であると考えられる。このことから、AHG2/AtPARNはABA、浸透圧ストレスや病原ストレス応答に関与するある種の遺伝子のmRNAを特異的に分解していると考え、現在解析を行っている。
著者関連情報
© 2006 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top