日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ジャスモン酸シグナル伝達に関わるシロイヌナズナ新規MAPキナーゼカスケードMKK3-MPK6の機能解析
*高橋 史憲吉田 理一郎市村 和也溝口 剛瀬尾 茂美米澤 成博圓山 恭之進篠崎 和子篠崎 一雄
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p. 320

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抄録
MAP kinase cascadeは真核生物に広く保存されているシグナル伝達系の一つであり、高等植物においては環境ストレスや病原菌に対する適応に重要な役割を果たす事が報告されている。シロイヌナズナゲノム中には多数のMAPキナーゼファミリー遺伝子が存在する事が明らかとされているが、その詳細な生理応答機構は、一部を除いて解析が進んでいない。我々はMAPKKの一つであるMKK3に着目し、これまでに新規MAPキナーゼMKK3-MPK6カスケードを同定した。また活性型MKK3過剰発現植物体の表現型及びMKK3カスケードによる下流制御因子の解析から、MKK3-MPK6カスケードはMKK4-MPK6カスケードとは異なり、JAのシグナル伝達に関与する事を示唆してきた。mpk6遺伝子破壊変異体、MPK6過剰発現植物体を用いた解析から、MPK6が実際にJAにより活性化される事が明らかとなった。またmkk3遺伝子破壊変異体及びJA非感受性変異体coi1では、JAによるMPK6の活性化が低下していた。更にMKK3MPK6過剰発現植物体はJAによる根の伸長阻害に非感受性を示し、mkk3mpk6遺伝子破壊変異体は感受性を示した。以上の結果よりMKK3-MPK6カスケードはJAのシグナル伝達経路に関与する事が明確化された。JAシグナル伝達におけるMKK3-MPK6カスケードの生理学的機能について考察する。
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© 2006 日本植物生理学会
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