日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのフラボノイド代謝関連遺伝子の共発現解析と代謝プロファイルによる網羅的機能推定
*峠 隆之榊原 圭子柴田 雅久大林 武斉藤 和季
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p. 339

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抄録
モデル植物の全ゲノム配列解読以後、ゲノム情報を用いたポストゲノム科学や他植物との比較ゲノム科学が急速に行われてきた。近年では代謝産物蓄積の分析(メタボロミクス)や遺伝子表現の包括的解析(トランスクリプトミクス)を通して、各データベースやバイオリソースを活用したファンクショナルゲノミクスのハイスループット化が課題の一つとなっている。すでに、演者らはPAP1 遺伝子が過剰発現したアントシアニン高蓄積変異株について、メタボロミクスおよびトランスクリプトミクスを行い、いくつかの未知遺伝子の機能を明らかにした(1)。本研究では、その際に明らかとなったPAP1によって共発現制御される遺伝子セットについて、昨年公開されたシロイヌナズナの約800のマイクロアレイ実験から相関係数を算出した『ATTED』を用いて、代謝機能制御に関わる共発現遺伝子群を一挙に推定した。その結果、アントシアニン特異的遺伝子群、フラボノイド一般の関連遺伝子群、リグニン関連遺伝子群など、いくつかのクラスターが形成された。そのうち、機能が推定された標的遺伝子のT-DNA挿入による機能破壊型変異体について、UPLC-Q-TOF MSを用いた蓄積代謝物分析を行った。その結果、2つの糖転移酵素遺伝子と1つのデヒドラターゼ遺伝子について遺伝子機能から予測される代謝物変動が変異体において認められ、これらの未知遺伝子の機能が示唆された。
1. Tohge et al., Plant J. (2005) 42: 218-235
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© 2006 日本植物生理学会
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