日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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動画像処理を用いたタバコBY-2細胞における液胞の動きの定量的解析
*朽名 夏麿桧垣 匠佐野 俊夫馳澤 盛一郎
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p. 349

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抄録
液胞は高等植物の多くの細胞で生長にともなって体積を増し,やがて細胞体積の大半を占める巨大液胞へと発達する.このことから液胞は細胞の形の変化を伴う現象に深く関与すると考えられる.我々はこれまでに,液胞の観察系としてAtVam3pとGFPの融合タンパク質を発現するタバコBY-2形質転換細胞BY-GVを確立するとともに,立体再構築・解析ソフトウェアREANT (reconstructor and analyzer of three-dimensional structures) を開発し,液胞の立体構造解析を行なってきた.それにより,細胞分裂時に現れるTVM (tubular structure of vacuolar membrane) や,ミニプロトプラストからの巨大液胞再生過程で出現する網状液胞など,複雑な液胞構造の存在を明らかにしてきた.
本研究では,液胞構造の形成や発達の物理的な制御機構を検討することを目的として,液胞の動きの定量的解析を行なった.そのために,液胞膜の蛍光像や明視野像からの計測に適した動画像解析ソフトウェアを開発した.とくに離散ウェーブレット変換による周波数解析を応用することで,領域抽出などの前処理なしで高効率に液胞の動きを解析できるようになった.その結果,液胞の動きには,細胞周期の進行による時間的変化,細胞内での位置による空間的差異,液胞表層におけるアクチン繊維の局在との相関,といった時間的空間的な制御要因が存在することがわかった.
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© 2006 日本植物生理学会
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