抄録
一般的にコドン使用頻度は翻訳効率を反映していると考えられているため、ある遺伝子を異なる生物種で効率良く発現させるためには、導入遺伝子を宿主の生物種で高頻度に使用されているコドンに合わせて改変する必要がある。近年、葉緑体形質転換法を用いて葉緑体で外来遺伝子を発現させる試みがなされてきている。葉緑体遺伝子の発現調節は主として転写後の段階で制御されていること、また、葉緑体ゲノムに存在している30種のtRNA遺伝子中には、アラニンとプロリンの最も使用頻度の高いコドンに対応するtRNA遺伝子が存在しないことから、葉緑体ではゲノム情報を基にしたコドン使用頻度と実際の翻訳効率が異なっている可能性が非常に高い。そこで、本研究では、タバコ葉緑体in vitro翻訳系を用いて、葉緑体遺伝子のコドン使用頻度がどの程度翻訳効率を反映しているのかについて解析を行った。