抄録
シロイヌナズナのオーキシン非感受性突然変異体の原因遺伝子MSG2/IAA19の屈性反応における役割を明らかにするために、その発現パターンをMSG2 promoter::GUS導入株を用いて調べた。シロイヌナズナの4日齢黄化芽生えに0.06 umol/m2/sの青色光を当ててGUS染色を行ったところ、刺激開始前は83%が胚軸組織で均一に染色しているのに対し、刺激時間の経過に伴い、偏差的染色を示す芽生えの割合が屈曲角度とともに増加した。このような偏差的染色を示す芽生えは刺激開始24時間後で58%を占め、その横断切片を観察すると、表皮と皮層を中心に屈曲の内側より外側が強く染色される偏差的染色が見られた。屈地性の場合は、90度の刺激では染色の変化が少なく、偏差的染色の観察が難しかったため、135度の刺激を与えた。その結果、屈光性と同様の傾向が重力刺激でも得られたが、屈光性ほど顕著ではなく、24時間後に偏差的染色を示した芽生えは49%であった。また、刺激を加えなかった場合と比較することにより、偏差的な染色は屈曲部の内側で染色が減少することにより生じたと考えられる。同様の実験をDR5::GUS導入株でも行ったが、偏差的染色は得られたものの、その割合はMSG2 promoter::GUS導入株と比べはるかに少なく、刺激開始24時間後で1%の芽生えでしか偏差的染色は観察されなかった。