日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナAtVAM3(SNAREタンパク質VAM3ホモログ)はミロシン細胞の分化に関与する
*上田 晴子西山 千晶嶋田 知生河本 恭子林 八寿子近藤 真紀大友 一郎高橋 卓西村 幹夫西村 いくこ
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p. 369

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抄録
われわれは,atvam3変異体(AtVAM3のペプチド挿入変異体および欠損変異体)においてミロシン細胞数が増大し,ミロシナーゼ(TGG)が大量蓄積されることを報告した.TGGはグルコシノレート(カラシ油配糖体)を分解し害虫に対する忌避物質を生成するチオグルコシダーゼであり,特徴的な異型細胞(ミロシン細胞)の液胞中に蓄積されている.ミロシン細胞は,野生型の葉では維管束周辺に点在していたが,atvam3変異体では葉全体にわたって連続的なネットワークを形成していた.免疫電顕において,atvam3変異体のTGGもミロシン細胞の液胞中に特異的に検出され,輸送異常は観察されなかった.atvam3変異体における液胞タンパク質の蓄積パターンを野生型植物と比較したところ,TGG以外のタンパク質(RD21,アリューレイン,2Sアルブミン,12Sグロブリン,γ-TIP)に変化は見られなかった.ペプチド挿入型AtVAM3の細胞内局在は正常なAtVAM3と一致し,液胞膜および液胞前区画で検出された.また,atvam3変異体においてもその局在は変化せず,液胞も正常に発達していた.酵母VAM3は液胞融合や液胞タンパク質の輸送に必須であることが報告されているが,AtVAM3は液胞融合およびTGGの液胞輸送には必須ではなく,秩序だった細胞分化という多細胞生物ならではの機能を持つことが示唆された.
Ueda et al. Plant Cell Physiol. (2005) in press
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© 2006 日本植物生理学会
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