日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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カタバミ葉柄の重力と光に対する屈性と組織構造
*山崎 尚渥美 茂明
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p. 384

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抄録

カタバミ(Oxaris corniculata L.)には、側枝が匍匐し水平重力屈性を示す個体や、側枝が木立ちし負の重力屈性を示す個体がある。また、多様な形態変異が存在し、伸長成長を続ける側枝や長い葉柄をもつ。
斜め上方に伸びた葉柄を葉身ごと切り出し、暗所で水平に置くと、葉柄は負の重力屈性を示した。また、1次元クリノスタット葉柄を取り付け、光源ごと回転させた場合、葉柄は、光源の方向へ屈曲した。このことから、カタバミの葉柄は、重力屈性および光屈性の両方の性質を備えていると考えられる。そこで、ナフチルフタルアミド酸を切り口から吸わせ、重力刺激や光刺激を与えた。その結果、葉柄は重力屈性や光屈性を示さなくなった。このことから葉柄の屈曲反応には、オーキシンの極性輸送が関係していることが示唆された。
葉柄の縦断切片を作成し、葉柄の伸長や屈曲と細胞伸長との関係、また、屈曲部位とアミロプラストの分布との関係を調べた。細胞の伸長域は、葉腋から小葉に向かって移動し、結果的に葉柄全体が伸長する。やがて、伸長は停止し、個体内で長さがほぼ一定になる。葉柄の伸長が停止すると、屈曲部位から離層手前約5mmまでのアミロプラストは消失し、屈曲部位だけに残ると考えられる。

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© 2006 日本植物生理学会
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