日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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重力屈性と光屈性の干渉作用を利用したシロイヌナズナの根の新規重力屈性異常突然変異体の単離
*藤井 伸治菅野 祐司宮沢 豊高橋 秀幸
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p. 385

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抄録
根の重力に対する初期応答の異常なシロイヌナズナ突然変異体では重力屈性が完全に消失しないため,突然変異体のスクリーニング・遺伝解析のための効率的な形質評価が行えず,根の重力応答に関する遺伝学的解析が立ち後れていると考えられる.例えば,デンプンを合成できずアミロプラストが沈降しないpgm-1 (phosphoglucomutase-1) 突然突然変異体では,根の重力屈性は屈曲速度の低下にとどまる.この問題を克服するため,重力屈性と光屈性との干渉作用を利用した実験系に注目した.シロイヌナズナの根は正の重力屈性を示すとともに,負の光屈性を示す.野生型のシロイヌナズナの根では,下側から光を照射した場合,重力屈性が光屈性に比べて強く発現する結果,根は下方向に伸長する.一方,pgm-1突然変異体では,同じ条件下で,光屈性が発現し,根は水平方向に伸長する。したがって、本実験系を用いることにより、根の重力屈性の低下を高い感度で検出でき、新規のシロイヌナズナの根の重力屈性が異常な突然変異体の単離と、その遺伝学的解析が可能になると期待される。我々は,この重力屈性と光屈性との干渉作用を利用した実験系を用いて、現在までに、EMS処理で突然変異誘発した10万株のシロイヌナズナのM2個体をスクリーニングし、根の重力屈性が異常になった44系統の突然変異体を単離したので,これを報告する.
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© 2006 日本植物生理学会
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