日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの根毛伸長欠損変異体shv3の解析
*林 晋平黒森 崇篠崎 一雄平山 隆志
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p. 383

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抄録
根毛は極性が顕著にあらわれる細胞であり、その先端成長の機構には未だ不明な点が多く残されている。我々は劣性の根毛伸長欠損変異体を理研のシロイヌナズナDsトランスポゾン挿入変異ラインより分離した。この変異株、15-1096-1では、根毛の多くが先端成長初期で停止しており、先端ではバーストが観察された。この変異株ではDsトランスポゾンがグリコシルホスファチジルイノシトールアンカータンパク質をコードする遺伝子に挿入していた。遺伝学的な解析と塩基配列決定により、15-1096-1はこれまで原因遺伝子未知であったshaven3 (Parker et al., Plant Cell, 2000, 12, 1961-) のアリルであることがわかった。shv3変異体では根毛の伸長欠損以外に顕著な表現型が認められず、GUS遺伝子を用いたプロモーター解析によりSHV3遺伝子が根毛細胞において強く発現することが示されたことから、SHV3は特に根毛の先端成長に必要な遺伝子であると考えられる。SHV3タンパク質の生化学的機能は未知であるが、根毛先端がバーストを起こしやすいという表現型から細胞壁強度の調節に関わることが推測される。現在、先端成長に伴う細胞壁の変化に注目し、根毛形成におけるSHV3の詳細な機能解明を試みている。
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© 2006 日本植物生理学会
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