抄録
SPINDLY（SPY）はO-結合型N-アセチルグルコサミントランスフェラーゼをコードしている。ジベレリン（GA）情報伝達の抑制因子であるDELLAタンパク質を修飾することにより、GAシグナルに対し抑制的に働くと考えられているが、その分子メカニズムに関してはほとんどわかっていない。我々はイネ変異体を用いてGA情報伝達機構の研究を行っている。これまでの研究により、GAが存在しない時、DELLAタンパク質であるSLR1はGA反応を抑制しているが、GA受容体であるGID1がGAを受容すると、GID1-GA複合体がSLR1と結合し、その結果SLR1がSCFGID2により26Sプロテアソーム依存的に分解され、抑制が解除されることが明らかにされた。今回、我々はこのようなイネのGAシグナル伝達の中でSPYがどのような働きをしているのか明らかにするため、gid1やgid2変異体の中でOsSPY遺伝子をノックダウンした形質転換イネを作製し、その表現型を解析した。その結果、GA受容体が欠損したgid1変異体、SLR1タンパク質の分解ができなくなったgid2変異体の両者において、OsSPY遺伝子のノックダウンは部分的な茎葉伸長を引き起こすことが解った。これらの結果は、OsSPYがSLR1タンパク質のGA依存的な分解に関わるというより、むしろ抑制活性の調節に関わることを示唆している。
