抄録
N-アセチルグルタミン酸キナーゼ(NAGK)は、グルタミン酸から始まるアルギニンの生合成経路の2番目の酵素である。ラン藻のNAGKはPIIタンパク質により活性化され、シロイヌナズナやイネでもPIIとの相互作用が報告されている。我々は、ヒメツリガネゴケのデータベースを検索し、NAGK遺伝子としてPpNAGK1を同定した。PpNAGK1の推定アミノ酸配列はシロイヌナズナのものと90%の相同性を示し、GFPとの融合タンパク質を用いた解析により、他の植物の場合と同様に葉緑体に局在することが確かめられた。PpNAGK1の発現は、窒素源の変化やアンモニア同化の阻害剤に対しては応答しなかったが、光に応答して変化し、mRNA量は明所で多く暗所で少なかった。このことから、ヒメツリガネゴケにおいてNAGKは光あるいは光合成産物によって制御されている可能性が示唆された。ラン藻でのPIIとNAGKとの相互作用にはTループのSer残基が必須であり、このSer残基は他の植物でも保存されているが、ヒメツリガネゴケではThr残基に置換されている。この結果は、ヒメツリガネゴケのNAGKの活性制御に対するPIIの寄与に疑問を投げかけるものなので、現在、酵母two-hybrid法を用いてPpGLB1とPpNAGK1が相互作用するかどうか確認している。