抄録
ステロールは真核生物にとって必要不可欠である。動物、菌類では、ステロール生合成中間体としてラノステロールが生成される。一方、植物では、シクロアルテノールが唯一のステロール生合成中間体であると考えられてきた。シクロアルテノール合成酵素(CAS)、ラノステロール合成酵素(LAS)は共にオキシドスクアレン閉環酵素(OSC)ファミリーに属する。
我々は、シロイヌナズナとミヤコグサOSC遺伝子構造の比較解析より、高等植物で最も先祖型と推察された一群に属するミヤコグサのOSC7が、LASをコードしていることを明らかにした。一方、真核生物のラノステロール、シクロアルテノール生成の系統解析を行った結果、CASがより先祖型であると推察された。さらに、OSC7にシクロアルテノール生成が期待される部位特異的変異導入を施したOSC7-N478H-V482Iを作製し、形質転換酵母により生成物を解析した。その結果、主生成物のパーケオールとともにシクロアルテノールの生成が確認された。これらの結果より、植物のLASはCASから派生し、ラノステロール生成に最適化されており、植物にとって積極的な生理的意義があると考えられた。