抄録
コムギのALMT1タンパク質は、細胞膜局在性のアルミニウム(Al)活性化型リンゴ酸トランスポーターであり、ハイドロパシー検索から5から8の膜貫通領域を持つと予想されている。我々は、Alなどのリガンド結合部位の解明を最終目的に、本研究では、ALMT1蛋白質のC末端について、膜配向性の解析を行った。ALMT1遺伝子の3'末端にエピトープ・タグを付加したALMT1をタバコ培養細胞に導入した形質転換体を作成し、ALMT1蛋白質の発現ならびにAl依存性のリンゴ酸放出能を確認した。次に、形質転換体を、抗エピトープ抗体およびC末端側218アミノ酸を抗原とした抗ALMT1抗体で免疫染色し、レーザー共焦点顕微鏡で観察した。その際、界面活性剤処理により細胞内に抗体を透過させた場合とさせない場合とで、免疫染色の程度を比較した。その結果、ALMT1発現株では、両抗体で細胞膜の染色が界面活性剤の有無にかかわらずほぼ同程度に見られた。一方、非形質転換体では、両抗体による細胞膜の染色は認められなかった。従って、ALMT1タンパク質のC末端は細胞膜の外側に存在する可能性が高いと思われる。