日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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塩感受性酵母の耐塩性を相補するイネカチオン輸送体遺伝子のスクリーニング
*小幡 年弘北本 宏子中村 敦子福田 篤徳田中 喜之
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p. 452

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抄録
イネの耐塩性機構に関与する新規カチオン輸送体遺伝子をクローニングするために,Na+ポンプを欠損した塩感受性酵母株(G19, Δena1-4)の塩感受性を相補するイネcDNAのスクリーニングを試みた。当所イネゲノム研究チームの所有する約28,000のイネ完全長cDNAを,Gateway System(Invitrogen)を用いて酵母の多コピー発現ベクターと連結することにより,イネ完全長cDNAの酵母発現ライブラリーを作製した。ライブラリーをG19株に導入後,0.5 MのNaClを添加したSD選択培地上で生育可能な株を選抜し,導入されたcDNAクローンを同定することにより,イネカチオン輸送体遺伝子のクローニングを行った。その結果,シロイヌナズナの内向き整流性K+チャネルであるKAT1およびKAT2に相同なタンパク質(OsKAT1)をコードするcDNAが,G19株の塩ストレス感受性を相補することが明らかになった。また,酵母細胞内のNa+およびK+含量をイオンクロマトグラフィーにより測定したところ,Na+ストレス条件下において,OsKAT1を導入した株とベクターのみを導入した株の細胞内K+含量はほぼ同等であったが,Na+含量はOsKAT1発現株の方が低かった。このことから,塩ストレス条件下においてOsKAT1が細胞内のイオンバランス維持に関与する可能性が示唆された。
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© 2006 日本植物生理学会
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