日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タバコ培養細胞におけるショ糖の取り込みに対するアルミニウムの阻害機構
*小塚 正太郎山本 洋子
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p. 455

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抄録
Alは植物根の生育を著しく阻害するが,その阻害経路はまだ解明されていない。本研究では、タバコ培養細胞(SL細胞株)を用い、細胞膜を介したショ糖吸収に対するAlの阻害効果を解析した。まず、タバコ細胞におけるショ糖吸収特性を解析した。タバコ細胞を、異なる濃度の14C-ショ糖を含み且つ浸透濃度が一定になるようにマンニトールで調整した溶液中に懸濁し、14C-ショ糖の取り込み速度を求めた。その結果、タバコ細胞では、ショ糖濃度に応じて、高親和性(1~3mM ショ糖)と低親和性(25 ~75 mM ショ糖)の取り込みが認められた。さらに、高親和性のショ糖取り込み機構について、阻害剤(CCCP、Wortmannin)を用いて検討した結果、タバコ細胞に見られるショ糖取り込みの大部分はショ糖-プロトン共輸送体を介したものであり、エンドサイトーシスではないことが明らかとなった。次に、Alのショ糖取り込みへの影響を見たところ、Alは、高親和性・低親和性の両方を、Al添加後30分で60%程度阻害することが明らかとなった。以上の結果から、タバコ培養細胞では、高親和性と低親和性のショ糖吸収があり、Alはその両方を阻害すること、Alによるショ糖吸収阻害はAl添加後30分から見られる初期応答反応の一つであることが明らかとなった。
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© 2006 日本植物生理学会
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