日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのABCタンパク質AtABCA1の発現特性と生理機能
*浜本 正文大石 明美佐藤 文彦Forestier Cyrille矢崎 一史
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p. 456

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抄録
シロイヌナズナはそのゲノム中に約130種のABCタンパク質遺伝子を有しており、その数は動物や昆虫のそれをはるかにしのぐ。これらは構造特性からいくつかのサブクラスターに分類されるが、その中で最大の分子量をもち、ヒトなどでコレステロールおよびリン脂質の輸送体として活発に研究が進められているABCA1の植物オルソログAtABCA1は、シロイヌナズナに1コピーのみ存在する。これに相当するオルソログは単子葉植物のイネや単細胞生物の酵母には見いだされていないことから、双子葉植物の生理機能に重要な役割を果たしていると推定される。本研究ではAtABCA1遺伝子発現の組織特異性および環境応答性を明らかにするため、northern解析とAtABCA1プロモーター領域2kbを用いたGUS形質転換体による解析を行った。その結果、AtABCA1遺伝子は様々な化合物、特にアブシジン酸の添加に対して正に応答すること、および芽生えから成熟植物体に至る全ての生長過程においても、根、茎、葉の維管束で特異的に強い発現を認め、さらに成熟花粉でも強い発現が認められた。維管束における強い発現は、篩部に特異的であった。現在、AtABCA1の細胞内局在を明らかにするために、シロイヌナズナのGFP融合タンパク質安定形質転換体を用いて蛍光観察を行っている。
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© 2006 日本植物生理学会
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