日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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トウモロコシ由来新規植物アセチルコリンエステラーゼの酵素特性
*山本 紘輔金刺 岳人桃木 芳枝
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p. 459

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抄録
新規植物アセチルコリンエステラーゼ(AChE)は,我々がトウモロコシ幼苗から世界で初めて単離・精製し,そのcDNAクローニングに成功した.AChEは42-44kDaのポリペプチドからなる88kDaのホモ二量体で,完全長のcDNAは1471bp,シグナルペプチド29残基を含む394アミノ酸残基のタンパク質をコードしている.本研究では,トウモロコシ由来AChEの酵素特性をマメ科植物サイラトロおよび電気ウナギのAChEと比較検討した.植物AChEはアセチルチオコリンおよびプロピオニルチオコリンを加水分解した.一方,S-ブチリルチオコリンに対する基質分解活性は示さなかった.また,植物体内に存在するアセチルコリンおよびプロピオニルコリンに対する分解活性も検出された.さらに,AChEの特異的な阻害剤である臭化ネオスチグミンにより競争阻害されることも確認された.これらの結果は,植物AChEが電気ウナギAChEと同様の触媒機構を有していることを示唆している.しかし,電気ウナギAChEと比較し,植物AChEの基質および阻害剤に対する親和性が低いことも認められた.また,動物AChEの一般的な酵素特性である高基質濃度下における基質阻害を検討した結果,植物AChEでは,動物のような基質阻害は確認されなかった.これらのことから,動植物間におけるAChEの活性部位周辺の構造差異が示唆された.
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© 2006 日本植物生理学会
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