日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タバコのホスホリパーゼA2の酵素性状の解析
*山口 麻里子藤川 律子藤川 愉吉飯島 憲章江坂 宗春
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p. 460

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抄録
ホスホリパーゼA2 (PLA2)はグリセロリン脂質のsn-2位のエステル結合を加水分解し、リゾリン脂質と脂肪酸を遊離させる酵素である。動物のPLA2は、一次構造や細胞内局在などの違いにより分類されている。なかでも、分泌型PLA2 (sPLA2)は低分子量の細胞外酵素で、その酵素活性の発現にはmMレベルのCa2+を必要とする。さらに、sPLA2の一次構造内に存在するCa2+結合領域や活性領域は、様々な動物のsPLA2間で高く保存されている。一方、植物については、多くの植物種でPLA2の存在や発現が確認されるようになってきた。当研究室では、これまでにタバコから2種のsPLA2 cDNAをクローニングし、両sPLA2の一次構造内に、Ca2+結合領域や触媒領域とみられる配列が存在することを明らかにしている。さらに、大腸菌により両sPLA2の組換えタンパク質の発現にも成功している。そこで、本研究では、これら両sPLA2を精製し、その酵素性状について解析した。その結果、いずれもPLA2活性を有し、1つはsn-1位のエステル結合も加水分解することが明らかになった。また、いずれの酵素も活性発現には、mMレベルのCa2+が必須であるが、両者のPLA2で、至適pHと基質特異性が異なることが分かった。現在、部位変異を導入した組換えsPLA2を作製し、その酵素性状について、より詳細な解析を行っている。
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© 2006 日本植物生理学会
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