日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ変異体を用いたシステイン生合成系に関与するセリンアセチル転移酵素遺伝子の機能解析
*渡辺 むつみ野路 征昭加藤 友彦田畑 哲之斉藤 和季
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p. 458

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抄録
セリンアセチル転移酵素(Serat)は、セリンとアセチルCoAから、システインの前駆体となるO-アセチルセリン(OAS)を生成する酵素である。シロイヌナズナゲノムには、5つのSerat遺伝子(Serat1;1, 2;1, 2;2, 3;1, 3;2)が存在する。我々はこれまでに、各Serat遺伝子にT-DNAが挿入されたノックアウト変異体を単離し、遺伝子発現解析及び代謝物分析を行うことにより、各Serat遺伝子はシステイン生合成系において異なる役割を果たしている可能性を示した。今回、各Serat遺伝子の役割をさらに詳細に解析するため、細胞質、葉緑体、ミトコンドリアにそれぞれ局在している主要なアイソフォームSerat1;1、Serat2;1、Serat2;2の各変異体を交配した二重変異体(serat1;1serat2;1, serat1;1serat2;2, serat2;1serat2;2)を作出した。serat2;1serat2;2二重変異体の解析において、Serat3;2遺伝子の発現量の増加や、OAS、システイン、グルタチオン蓄積量の著しい減少が観察された。このような結果は、serat2;1またはserat2;2単独変異体では観察されなかった事から、Serat2;1及びSerat2;2は互いに機能を相補していることが示唆された。現在、他の二重変異体についての解析を行っている。
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© 2006 日本植物生理学会
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