抄録
光合成関連遺伝子のほとんどは、明期に発現量が多く、暗期には非常に少ないと考えられているが、その時系列的変化の詳細は明らかではない。本研究では、原始紅藻類に属するC. merolae を用い、明期12時間、暗期12時間の光周期により細胞分裂を同調させ、光合成遺伝子の転写産物の蓄積量をノーザン解析により計時的に測定した。その結果、遺伝子によって発現のパターンが数種類に分類されることが明らかとなった。psaA、psbB-T では、明期に多く存在した転写物は、暗期に入ると徐々に減少し、次の明期で増加した。psbO、psbU、psbC では、暗期に入ると蓄積量が急激に減少したが、その後徐々に増加を始め、明期に入ると、急激に増加した。psbAの転写物蓄積量は、明暗に関わらず、ほぼ一定であった。psbEFLJ の蓄積量は、明期に入ると徐々に増加した。現在、他の光合成関連についても解析中である。転写産物蓄積量により遺伝子をグループ分けし、考察を行う。