2021 年 30 巻 4 号 p. 233-236
われわれは今回特発性大網血腫の1切除例を経験したので,多少の文献的考察を加えて報告する.症例は,60歳男性.突然の右側腹部痛にて受診し,同日施行した腹部CTにて大網血腫が疑われたため精査加療目的に入院となった.血管造影検査にて右胃大網動脈の分枝からの出血が疑われたが,当該動脈の塞栓術が困難であったため,開腹し,血腫を含めた大網部分切除を行い,破綻していた右胃大網動脈の分枝を結紮して止血した.術後腸閉塞で再入院を要したが,保存的加療を行い,術後64日目に軽快退院となった.