日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ジベレリン生合成中間体ent-カウレンの気相への放出とその受容
*兼目 裕充大塚 稔笠原 博幸豊増 知伸三橋 渉佐々 武史神谷 勇治山口 信次郎
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p. 480

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抄録
ジベレリンの生合成中間体ent-カウレンは、色素体に局在するent-CDP合成酵素(CPS)とent-カウレン合成酵素(KS)によって生合成される。これまでにent-カウレンが植物体から気相へ放出され、また、シロイヌナズナのga1-3およびga2-1突然変異体(CPSまたはKSの機能欠損株)は気相ent-カウレンを取り込むことにより、矮性から完全に回復することを見出している。
本研究ではジテルペン炭化水素の気相放出や受容に関わる構造特異性の評価を行う目的で、新たに色素体で異種ジテルペン炭化水素を生産する形質転換シロイヌナズナを作出した。この形質転換体において、異種ジテルペン炭化水素の気相放出をGC-MS分析によって確認できたことから、シロイヌナズナはent-カウレンとは構造の異なる異種ジテルペン炭化水素も気相放出できることを明らかにできた。さらに、色素体に局在するMEP経路や細胞質に局在するMVA経路に特異的に取り込まれる各13Cラベル中間体を用いた取り込み実験を行なったところ、この形質転換体から気相放出される異種ジテルペン炭化水素のイソプレンユニットは、主に色素体のMEP経路に由来することが明らかとなった。現在、ジテルペン炭化水素の気相放出と受容メカニズムの解明を目的として、機能喪失型または過剰発現型のシロイヌナズナ変異株を用いて、気相放出と気相ent-カウレンの取り込みに関与する因子のスクリーニングを行っている。
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© 2006 日本植物生理学会
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