日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

花粉におけるオルガネラDNA量の制御に異常を示す変異体の解析
*久保 美和松島 良服部 千恵子蘇都莫日根坂本 亘
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 494

詳細
抄録
高等植物の花粉は1つの栄養細胞と2つの精細胞から構成される。栄養細胞は花粉の大部分を構成し、花粉発芽時には頂端生長して精細胞を胚珠に輸送する。2つの精細胞は栄養細胞に取り込まれた形で存在し、それぞれが胚珠において重複受精を行う。植物細胞は核以外にミトコンドリアとプラスチドにオルガネラDNAを持つ。多くの被子植物の花粉では発生過程において栄養細胞ならびに雄原細胞(後に精細胞に分化する細胞)のオルガネラDNA量が減少することが知られているが、その分子機構の詳細は不明である。我々はこれまでに、シロイヌナズナの花粉をDNA特異的結合試薬であるDAPIを用いて染色する方法を用いて、花粉におけるオルガネラDNAの減少に異常を示す変異体を探索している。現在までに、栄養細胞の細胞質に野生型では観察されないDAPIのシグナルが観察される突然変異体を数系統単離している。野生型と変異体の花粉をDAPIとミトコンドリア染色試薬であるDiOC6を用いて二重染色をした結果、栄養細胞の細胞質中に観察されたDAPIのシグナルはプラスチドDNAに由来する可能性が得られた。また、得られた系統のうち1系統は、葉に斑入りの表現型を示した。現在、透過電子顕微鏡による詳細な解析と原因遺伝子のマップベースクローニングを進めており、その結果も合わせて報告したい。
著者関連情報
© 2006 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top